長労働時間の是正を阻むもの

一歩踏み込む社労士の村田です。

3歳の息子から「パパ、カタツムリはどうやって歩くの?」と質問されて、上手く答えることができませんでした。シンプルなことを簡単に説明することほど難しいものはありません。子供と過ごしていると、毎日そんなことを思い知らされます。

さて、今日のニュースでこんな記事がありました。

「月100時間」で労使が最終調整 残業上限規制

「特に忙しい時期」の残業について「100時間」がいいのか「100時間未満」がいいのか、という議論です。

「え、そこなの?」

疑問に思った方も多いかもしれません。

100時間という時間は過労死が認められる時間として、以前より存在していた基準です。法的な拘束力をつけることが今回の議論とはいえ、時間そのものに目新しさはありません。その意味でこの議論は画期的なものではなく、ましてや元々80時間で調整していたものが後退してしまった側面もあります。

働き方「改革」と言っている割りには、変化の意識が見えない議論だという感想にならざるを得ません。

長時間労働の問題はずっと昔から言われているにもかかわらず、なぜ進捗しないのでしょうか。

私はそれを「成功体験の呪縛」だと見ています。

100時間の残業とは、土日休み所定労働時間9時ー18時の方が、毎日22時まで残業して、かつ月2回ほど休日出勤しているような状況です。

これを聞いて、「そんなに働いたら死ぬよ」という人もいれば、「え、その程度なの?」と思う人もいます。私はどちらかと言えば後者です。

長時間労働を行っただけ成果が出た時代があり、またその中でさらに成果を挙げた人がこの議論の中心にいる、というのが実情だと思われます。100時間の残業など、余裕でこなしてきた人たちが集まっているのでしょう。その方にとって、今回の規制は「自分の成功体験を否定する」ことに他なりません。

頭ではそんな時代では無いことはわかっていても、気持ちがついていっていないのではないでしょうか。

いろいろなビジネス書を読めば「成功体験はすぐ捨てよ」と必ず書いてあります。裏を返すと、ビジネス書を執筆できる経営者でさえ、強く意識しなければ成功体験は捨てられないということだと私は理解しています。

「働き方改革」が叫ばれて半年近く経っていますが、改革されているという実感はもちろん、議論が進んでいるような気もしません。この進捗は、カタツムリの歩き方を説明するよりも難易度高いです。

(私も含めて)上の世代の成功体験をブチ壊してくれるような政府の本気を見せてほしいと思います。私たち社労士はもちろん、経営者の方も労働者の方もこの経緯には注視しただきたいと思います。

#働き方改革 #長時間労働 #残業 #過労死

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